古典派シンフォニー

百花繚乱

 

クリストフ・ヴィリバルト・グルック

Christoph Willibald Gluck 1714-1787


 グルックといえばなんといってもオペラ。比較的遅咲きのグルックですが、後年はそれまで積み上げてきたオペラに対する思想を次々と実際に音楽にして世に問うように発表してゆきます。歌手たちの虚栄心におもねる音楽から、詩に奉仕する音楽への転換を強力に進めます。グルック自身が「オペラ改革」と意識して孤高の戦いをパリでウィーンで繰り広げ、それらの帰結は後世に大きな影響を与えました。35曲以上のオペラを書いたグルック。実質最後になるオペラ〈タウロイのイフィゲネイア〉の稽古にはモーツァルトも立ち会っていたということです。グルックのオペラ改革なしには、モーツァルトのオペラも生まれなかったといっても過言ではありません。

 さて、そんな徹底的な舞台人のグルックですから、バレエにも筆を染めていますし、オペラには序曲もあるわけで、管弦楽だけの音楽を書くのに躊躇はなかったはずです。それどころか、グルックは歌詞の内容とは裏腹な、登場人物の本音を管弦楽に密かに語らせるような扱いにも秀でていたのですから。しかし、純粋器楽曲のシンフォニーとなると、ぐっと影が薄くなってしまいます。事実、彼のシンフォニーについて自筆譜が残っているものはひとつもありません。それでも筆写譜などでグルックの真作と確認されるものが現在14作品ほど認められています。

 若かりし頃のグルックは音楽を学ぶ為に各地を積極的に巡りました。1730年にはG.B.サンマルティーニを中心にシンフォニストの一派が形成されていたミラノに滞在していて、この時期にもシンフォニーを残しています。

 また、グルックがウィーン定住の緒をつかむきっかけとなった、ザクセン-ヒルトブルクハウゼン候の所有するオーケストラに楽師長として就任した1752年からは、このオーケストラのために自作のシンフォニーを何曲か作曲していて、筆者譜のかたちながら残されているものがあります。ブルク劇場での演奏会でもグルックのシンフォニーやコンチェルトが演奏される機会があったようです。

【Ch.W.グルックの肖像画】


[クリストフ・ヴィリバルト・グルックのシンフォニーを聴く]

シンフォニー ト長調 Wq.deest, Chen G3


 2本のフルートとオーボエ、そしてホルンが華やかな色彩感を放つ充実した急-緩-急の3つの楽章からなるシンフォニー。バスの刻みの上でトゥッティと管楽器のソロ群が交代しながら推進する爽やかな第1楽章。第2楽章は弦楽器の伴奏の上で歌うフルートとオーボエが美しいオペラアリアのよう。ロンド形式をとる第3楽章は、ぱちぱちと弾けるような急速な回転を伴う3拍子の音楽になっています。

(2015.1.28)


【関連動画】

Ch.W.グルック:シンフォニー ト長調 Wq. deest, Chen G3

オルフェオ・バロック・オーケストラ、ミヒ・ガイク(指揮)☆